2019.05.02ブログ

水系感染症と化学物質による汚染

【水系感染症と病原体】

水系感染症とは水を媒体として病原体が体内に侵入し、種々の症状を起こす疾患のことです。

水系感染症の病原性微生物には、病原細菌(赤痢菌、腸チフス菌、コレラ菌、病原性大腸菌O-157、レジオネラ属菌等)、病原ウイルス(ノロウイルスなど)、病原原虫(クリプトスポリジウム等)があります。

赤痢菌、腸チフス菌は非衛生な水やイエバエによって食物に運ばれることにより人体に感染する病原体です。赤痢菌は熱に弱く、塩素消毒で死滅します。

コレラ菌はコレラ毒素によって下痢を引き起こし、脱水症状、血圧降下、脈拍微弱等を呈します。コレラ菌は便や嘔吐物等と共に排出され、それに汚染された飲食物を摂取することによって感染します。コレラ菌は塩素消毒によって死滅します。また、熱に弱くて60℃、30分で死滅します。

病原性大腸菌O-157は腸管出血性大腸菌に属し、下痢や腹痛などの症状をきたし、食中毒の原因となる菌です。O-157はベロ毒素により神経を侵し、出血が止まらなくなり、腎不全や血便(溶血性尿毒症症候群)などの症状を引き起こします。O-157は遊離残留塩素0.1mg/ℓ以上、又は75℃以上、1分間の加熱で死滅します。

レジオネラ属菌は土壌、地下水、河川水など自然界に広く存在しており、冷却塔の冷却水に混入して繁殖し、肺炎様の日和見感染症を引き起こします。塩素消毒や55℃以上の加熱で死滅します。

クリプトスポリジウムは、水や食べ物の中では殻に覆われたオーシストの形で存在し、下痢を引き起こす原虫です。塩素消毒に対しては抵抗力がありますが、沸騰水では1分以上で死滅。60℃以上または―20℃以下で30分、常温で1~4日間の乾燥で感染力が無くなります。ノロウイルスは、ウイルスに汚染された食品や水により経口感染し、下痢、腹痛、嘔吐、発熱などの症状を起こします。通常の浄水処理及び塩素消毒によって阻止できます。

【化学物質による汚染】

クロムはメッキ廃水の地下浸透により水道の地下水水源を汚染することがあり、がんの原因と考えられています。

鉛は河川中に地質や工場排水に由来して溶存することがあります。水道水中の鉛は、使用している給水管から溶出し、ヘム合成阻害、貧血、腎臓障害、消化器の障害、神経系の障害などの症状を引き起こします。pHが低い水や遊離炭酸の多い水ほど鉛が溶出し易いです。

陰イオン界面活性剤は洗濯や台所洗剤として用いられています。河川水の発泡による利水障害、下水処理場での処理能力の低下、水道水への混入などの影響があります。

トリハロメタンは水道原水に含まれるフミン質などの有機化合物と浄水工程で注入する塩素が反応して生成する副生成物で、発がん性が考えられています。

ヒ素は地質、鉱山排水、工場排水などに由来します。末梢神経障害、角化症、色素沈着、黒皮症、皮膚がんなどの原因となります。

硝酸体窒素、亜硝酸態窒素はメトヘモグラビン血症の原因となります。

フッ素は地質や工場排水などによって飲料水に混入されます。幼児期に多量摂取すると体内沈着によって斑状歯や骨折の原因となります。

有機溶剤であるトリクロロエチレン、テトラクロロエチレンが未処理のまま土壌に浸透して飲料用の地下水に混入した事例があります。

水道の利水障害としては亜鉛(白濁)、鉄(黒)、銅(青)、マンガン(黒)等の着色があります。

 
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